空想、妄想、創作

今日のアーカム

アーカムに初雪が降ったその朝、 彼女は、唐突に、そして完全に、わたしたちの前から姿を消してしまった。 この世界のどこにも、彼女の痕跡をみつけることはできなかった……。 (Originally posted on 携帯百景 via my movatwitter). てんき: 雪、のち雨。強風…

Monsters v.s. Deep Ones 夏休み0日め その1

(こんなネタを考えついて、書きためていました。書いているうちに季節外れになってしまったり、以前、掌編/140文字ネタに出てきた登場人物が全員集合しただけの感じだったり、いろいろアレではあるのですが、興味とお時間のあるかたは、おつきあいいただけ…

Return of the Fly

『ハエ娘の恐怖』の最終話です。 ーーーー 薄暗い部屋の中でぼんやりと佇んでいると、突然インターホンが連続して鳴らされた。ドアを開けると、僕の肩までくらいの身長の少女が立っている。大きなぶ厚い眼鏡とマスクをしていて、顔立ちはほとんどわからない…

てるてる☆はあと (つづき)

なんで「殺しちゃいたい」って思うようになったのかは、自分でもよくわかんない。だけど、いちど思いはじめたら、朝も夜も、頭の中はもうそのことばっかりだった。動機? ないない。恨み? ぜんぜん。だって、彼のこと、大好きだったもの。いつだって優しくて…

てるてる☆はあと

数日まえの「今日の早川さん」のエピソード (の中で帆掛さんが着ているTシャツのロゴ) をみて、エドガー・アラン・ポオの「告げ口心臓」(原題: The Tell-Tale Heart) をヤンデレ(?)風に翻案した短編、タイトルは「てるてる☆はあと」――とかいうネタが浮かんだ…

ハエ娘の恐怖

(こちらにあったものと内容的にはおなじです。ちょっとうもれてきたので、記事を移動しました。まとめはこっちに追加していきます。) 予備校から一人暮らしのアパートの部屋に帰った僕は、いつものようにカバンを床に放り投げ、ジーンズを脱いで部屋着のジャ…

ハエ娘の恐怖

数日前についったーでしたやりとりから妄想しました。ついったーに投稿しようとおもっていたのだけど、長くなってしまったので、この部分だけはこっちに置いておきます。 (10月8日追記: ちょっと下のほうに埋もれてきたので、本体をこっちに移動しました。) …

手紙

「親愛なるニイマル。萬天野(まんてんの)にある商人宿で、この手紙を書いています。平原地方の交易の中心になっている、にぎやかな町です。おぼえてますか。あなたがはじめて粟花にある市場にぼくを連れていってくれたとき、ぼくはそこに集まる人の多さに目…

FP222 - フライング・ポストマン社 テールナンバー222

『嬢ちゃん今度はどこまでだ?』 『ミナカタです』 『山越えか。オヤジが雲が出てたって言ってたから、気を付けな』 『うん。ありがと、イバさん』 離れていく整備員にお礼を言って、少女はゴーグルをはめ、箒にまたがる。 『フライング・ポストマン社222から…

@takayehつぶやきまとめ

ふたたび、Twitterアカウント @takayeh でつぶやいた創作系ポストのまとめです。(一部、メインアカウントのほうに投稿したものもまざってます。) 今回、まとめるのをしばらくさぼっていたら、けっこうたまってしまったので、Twitterでfavourite(おきにいり)…

「Twitter小説」をオフラインに持っていくためのアイデア (ただのおもいつき)

「Twitter小説」書籍化の話題を読んでいて、ふとおもいついたこと。Twitter小説は1ポスト最大140文字、というTwitterの制約にしたがって書かれている *1 ので、暗記カードくらいの大きさ、形状のものにも印刷できるのではないでしょうか。だから、こんなふう…

@takayehのつぶやきまとめ

ついったーアカウント @takayeh での創作つぶやきのまとめです。「140文字でクトゥルー神話」やっていたはずなのですが、140字でもクトゥルー神話でもないものがまざってきたので、とりあえずこのようなかたちにしておきます。最近粗製濫造になってしまって…

図書館で発見された携帯電話に残されていた動画

ニコニコ動画だと不調っぽいので、アップしなおしました。すみません。 ニコニコ動画アカウントのあるかたは、そっちでもみられるかもしれないので、いちおうリンクも。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm7932878

「第11次ミスカトニック大学南極遠征隊報告会」Twitter実況ログ

今朝Twitterで実況したものをまとめました。誤字、脱字、訳語の修正などを一部おこないましたが、あとはそのままです。 開始前 告知したとおり、これから「第11次ミスカトニック大学南極遠征隊報告会」を実況します。 いちおう開始時間なのだけど、まだ入っ…

チャック・ノリス・ジョークここまでのまとめ

あと、こっちこそまとめる必要ないものですが、おなじアカウントでつぶやいていたやつなので、いちおう。 「実は、1999年にルルイエは浮上を完了し、そこにある神殿でながい眠りについていたクトゥルーも、まさに目覚めようとしていた。そのとき、アメリカの…

「140文字クトゥルー」ここまでのまとめ

まとめるほどの質じゃないような気もするのですが、ついったらーではないかたもいらっしゃるとおもうので、@takayehのほうで最近つぶやいている「140文字でクトゥルー神話」の、これまでポストしたぶんを、とりあえずまとめておきます。クトゥルー神話じゃな…

爆発音がした -- バルカン人のばあい

スタートレックついでに、こんなのをおもいついたのでポストしておきます。もう似たようなのを書いているひとがいるかもしれないけど。 (参照: 「爆発音がした」まとめ 上、「爆発音がした」まとめ 下) A sudden emission of light was detected at 6 o'cloc…

とりかえ子

(個人的な事情で、いったん本文を非公開にさせていただきました。ご不便をおかけして申し訳ありません。)

祭典 (私の妹がそんなに繊細なわけがない II)

(個人的な事情で、いったん本文を非公開にさせていただきました。ご不便をおかけして申し訳ありません。)

窓の外に気をつけてください

コンピュータのスクリーンに映し出されたその動画をひと目みた瞬間、ある予感が私の中を駆けぬけた。 そして、その予感は、おそらく正しいものだ。 ふたたび来たのだ。あのときが。 スクリーンの中では、蛸の触手に似た毛髪をした少女が、歌い、踊っている。…

私の妹がそんなに繊細なわけがない

When, after infinities of chaos, the first men came, the Great Old Ones spoke to the sensitive among them by moulding their dreams; for only thus could Their language reach the fleshy minds of mammals. (混沌に満たされた永遠のときが流れ、地…

飛翔賞

飛翔賞というものに投稿してみた作品。ちょっと空気を読めてない投稿になってしまったようで、申しわけなかったです。(「続きを読む」をクリックで展開。ちなみに、ここでふだん書いているものとはかなり方向性ちがいます。すみません。あと、飛翔賞関連のペ…

まじゅつしまじゅつしゅぎょうちゅう

「"She sells sea shells on the sea shore." はい」 「えっとっ、 "She shells she shells on the sea shore" ……」 「言えてない言えてない。もう一回」 「"She. Sells. Sea. Shells. On the sea. Shore"」 マサチューセッツ州セーラムの町の片すみにある一…

あたらしい朝

カメラだけ持って熱帯の密林にでも行ってしまいたい。 年末進行の仕事に追われるなか、毎日のようにそう口走っていた隣席の同僚が、ある日を境にぱったりと出勤してこなくなってしまった。 本当に旅に出てしまったのではないか、と皆で噂していたのだが、週…

いかのて

月曜日、パスタに入れるイカを切っているところにニシちゃんが帰ってきたので、ちょっかいを出そうとしたら、「イカの手でさわらんといて」と言われて逃げられた。 んで、イカの手、というのはこういうことか? とおもったので描いてみたんですが、COCO様のこ…

窓に! 窓に!

何者かに追われていることに、私は気がついていた。 天文館のアーケードの雑踏の中。実家近くの商店街。最寄りのバス停から実家に帰る途中の、石垣のあいだの細い道。ふと視線を感じてふりかえると、そこに実体のあるものはなにもない。けれども、誰かが、あ…

Farm House

アーカムは、ミスカトニック大学という高等教育機関がその文化的、経済的中心になっているせいもあるのだろう、規模と立地とは対照的に、現代的で近郊都市的な雰囲気を持っていたが、町を取り囲んでいる土地は、さほど洗練されているとは言い難いのだった。…

Gus was the Bus Driver

私は、前扉のステップを軽い足どりで下り、歩道の縁石の上に立った。運転席の脇を通り抜けたとき、ふとフロントガラスの上の内壁に取りつけられている、ドライバーの名前を記したプレートに目がいった。そこに、『#52 ガス』と書かれていたのを、今でもはっ…

ロバート・カーター記念棟

午後11時30分。夜の帳が、アーカムの町を完全に覆いつくしたころ。 ミスカトニック大学キャンパス内、ロバート・カーター記念棟の1階の廊下では、高い天井にとりつけられた蛍光灯から落ちる白い光が、黒く塗られた床の上に静かに反射していた。片側にずらり…

カフェイン

3月の、ある晴れた土曜日のことだった。 他所の地方から来たばかりの者には、まだ厚手の上着が恋しくなるような気温であったけれども、長い冬を耐えてきたアーカムの住人には、これっぽっちの春さえも嬉しく思えるものらしい。街はすこし華やかな色の服で着…