「140文字クトゥルー」ここまでのまとめ

まとめるほどの質じゃないような気もするのですが、ついったらーではないかたもいらっしゃるとおもうので、@takayehのほうで最近つぶやいている「140文字でクトゥルー神話」の、これまでポストしたぶんを、とりあえずまとめておきます。クトゥルー神話じゃないのもまざってるっぽいけど。あと、いくつかのネタは、以前このブログでつかったもののつかいまわしだったりもします。


「子供の頃、他の人も当たり前にやっていると信じていたことが、実は自分の家だけの習慣だった、というのはよくある。たとえば我が家では、夏至冬至の日に一族で近くの洞窟に行っていた。そのときに唱える言葉はまだ憶えているが、人間に発声できない音が含まれているので、ここには書けない」


「婚約者の家にはじめて呼ばれた。すごい豪邸で、壁に一族の肖像画など飾られている。一族の男性は皆、特徴的な顔をしていた。ぶ厚く軟らかそうな唇、魚のエラのような切れ込み、妙に透き通って、顔から飛び出した目。そういえば彼も、それとよく似た目をしている」


「結婚して島に戻った兄と、その相手に挨拶にいく。砂浜で網の手入れをしていた老漁師に舟をだしてもらった。波のあいだに浮上してくるふたつのつるりとした頭。まばたきをしない4つの目。すえながく、おしあわせに。わたしも近いうちに帰ってくることになるとおもいます。」


「私は生まれた直後に、生死にかかわる大病を患ったのだという。いまでも定期的に注射をうけ続けている。蛍光黄緑色をした薬品を腕の内側に打つ。私の首の付け根と、右腕の肩あたりには、ぐるりと一周、縫合した跡がある。病気をしたときに手術を受けた痕跡なのだとおもう。」


目の記憶。「『貴女はお母様と同じ目をしている』とよく言われる。目が覚めているときでも、瞼を閉じると、見たこともない砂浜の景色がよくそこに映る。海辺の町出身だった母は、私を産んですぐに亡くなった。私は生まれたときは目が見えなかったそうだ。」


「知人の家に届けものをしたら、触角のようなヒゲを生やした使用人に、主は留守だと告げられた。前には見なかった顔だなとおもいながら、品物を託して帰った。後日、タイプした簡潔な礼状が送られてきた。いつもは流麗な手書きの書状をくれる男なのだが。」


「夕刻チェックインした蝋細工のような顔の客が、重そうな鞄を運んでいた。お持ちしますと言ったのだが、大事なものだからと断られた。後で部屋に入った客室係の話では、机の上に人の頭ほどの大きさのブリキ缶が数個あって、缶のひとつには宿帳につけられたその客の名と同じ名が書かれていたそうだ。」


「自分が『深きもの』の血をひいているらしいと聞いてから、水族館によく通っています。将来どんな容貌になるのか知りたいとおもってのことなのですが、魚にもいろいろな顔をしているのがいるのですね。オオカミウオみたいだったらいいけど、トビハゼみたいになるのはちょっと。え? カエル?」


「『人間』だとか『魚人』だとか、そういう社会的に構築された境界線を参照することなく、自分が所属して、守りたいとおもう共同体を決めたい。それは不可能なことなのだろうか。そう考えるのは、いけないことなのだろうか。」


「『人間』と『魚人』の区別は、社会的に構築されたものだ。区別を正当化する生物学的根拠は一切存在せず、また、二者を隔てる境界線も、主に政治的、経済的理由から、過去に何回も引きなおしがおこなわれた、あいまいで恣意的なものである。」



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