Gus was the Bus Driver

私は、前扉のステップを軽い足どりで下り、歩道の縁石の上に立った。運転席の脇を通り抜けたとき、ふとフロントガラスの上の内壁に取りつけられている、ドライバーの名前を記したプレートに目がいった。そこに、『#52 ガス』と書かれていたのを、今でもはっきりと憶えている。


その停留所で下車した乗客は、私のほかにはひとりもおらず、バスはすぐに発車した。私は、その場で道を横切るために―それが、彼のアパートへの最短距離だったのだ―左右を確認した。遠ざかりつつあるバスの車体の後部に、環境にフレンドリーな天然ガス車であることを示すステッカーがでかでかと貼ってあるのが見えた。そのほかには、どちらの方向からも車は来ていなかった。私は車道に足を踏み出した。


道路を真ん中あたりまで渡りおえた、そのときだった。背後で爆発音が轟いた。爆風に背中を強く押され、私は路面に這いつくばった。おそるおそる、顔だけを上げて、音がした方向を窺ってみると、道の先、交差点になっているちょうど手前のあたりで、私がついさっき降りたばかりのバスの車体から、炎が噴き出しているのだった。


私は慌てて手提げかばんの中を探り、携帯電話を取りだした。蓋を開いて、911をダイヤルする。ほんの少しの間があって、回線が繋がった。私は、できるだけパニックを抑えこんで、状況を説明しようと試みた。けれども、私の口から出たのは、次のような言葉だった。


「バス、バスばすはつ......じゃなくって、ガスバスばすばす......」



参照: 2008-05-07 - coco's bloblog - Horror & SF 「爆発音がした」まとめ 上


いや、私のは、なにか(だれか)の文体を真似したわけでもなくて、しかもただの小話になってしまってるので、本来の趣旨とは全くかけはなれたものになってしまってるんですが、なんかこんなのしかおもいつかなかった...。