てるてる☆はあと (つづき)

 なんで「殺しちゃいたい」って思うようになったのかは、自分でもよくわかんない。だけど、いちど思いはじめたら、朝も夜も、頭の中はもうそのことばっかりだった。動機? ないない。恨み? ぜんぜん。だって、彼のこと、大好きだったもの。いつだって優しくて、私を傷つけるようなことは絶対しなくって……。財産? そんなの、考えたこともなかった。でも、そうね。眼かもしれない。そう、眼よ。間違いない。彼の片方の眼、ハゲタカの眼みたいだったの。薄い青色で、膜がかかったようになってて。その眼で見られるといつも、ぞわぞわっとキた。何度も何度も見つめられてるうちに、だんだん、だんだん、我慢ができなくなってきたの。もう、たまんない、殺しちゃいたい、って。*1

このへんまで訳したら、ちょっとヤンデレっぽくなるかなあ、とおもってやってみました。内容はほぼ原文どおりです。(原文では「ハゲタカの眼」が恐怖、嫌悪の対象であり、それが殺意を抱く原因になっていることが示唆されていますが、それだとヤン「デレ」にならないらしいので、そこだけはぼかした表現になってます。)

*1:Edgar Allan Poe, The Tell-Tale Heart。原文はLiterature.orgにあるものを参照しています。http://www.literature.org/authors/poe-edgar-allan/tell-tale-heart.html