ハイドラさまの祭日

「一般社会では、5月の第二日曜日に母の日を、6月の第三日曜日に父の日を祝うならわしになっていますね。なぜ、その日なのか、知っていますか?」


「いいえ」


「わが教団で、母なるハイドラさまと父なるダゴンさまを礼拝する日は?」


ダゴンさまの祭日は、6月の第三日曜日、ハイドラさまの祭日は、5月の第二日曜日……あっ」


「そう、母の日、父の日の風習は、ダゴン密教団が裏から働きかけて人間社会にもたらしたものなのです。世界中の人が同じ日に祭日を祝っているなら、世間に隠れることなく礼拝をおこなうことができますからね」


(ところで、7月の第三月曜日は「海の日」ですが、これもじつは……)

おしらせ・2

暗黒皇帝さまのページに本とおまけの内容、会場、取り置き/郵送での販売についての詳しい案内がアップされましたので、こちらもご参照ください → http://d.hatena.ne.jp/globalhead/20120503


(4/27, 5/1作品情報その他もろもろを追加しました。)


前回のおしらせ・1にくわえて、もうひとつ。


5月6日開催の第14回文学フリマで、執筆参加した本がもう1冊出ます。サークル名「yARn」(ヤーン)、スペースはイ-43(Fホール)、冊子タイトルはサークル名とおなじ「yARn」です。こちらは『今日の早川さん』や『異形たちによると世界は…』の作者COCOさん主催による創作アンソロジーで、テーマは「蟲」。漫画、イラスト、掌編、短編をあつめた競作集になっています。(COCOさんのブログに宣伝画像がアップされています。文学フリマでは先着若干名様に、この絵柄のおまけチラシがつくそうです。 → http://horror.g.hatena.ne.jp/COCO/20120427#p1) サークルのブログのほうにも告知が出ましたので、ご参照ください。→ http://weavers.jugem.jp/


私は末席を汚しているだけですが、COCOさんをはじめ、豪華な執筆陣が集っていますので、文学フリマに行かれるかたはぜひ、お立ち寄りくださいませ。私の作品は『How to Care for Silverfish - <銀色の魚>の正しい飼いかた』、こちらも「ギルマン高家あさひ」名義で書いています。新米司書さんと図書館の不思議な住人が登場するハートウォーミングなコメディです。(本当! ハートウォーミングとみせかけてハートバーニング [胸焼け] だったりハートブレーキング [失望] だったり、みたいなことは今回にかぎってありませんのでご安心ください。) よろしくお願いいたします。


……ところで、完全に偶然なのですが、クトゥルフ・アンソロジーでもこちらの本でも私は2番バッターみたいですね。どんどん送りバントするよー。(意味不明)


あ、イベントの詳細については、公式サイトでご確認いただければと思います。


文学フリマhttp://bunfree.net/

(あと、同志paseyoさんの告知記事に文学フリマのていねいな説明が載っていたので、そちらにもリンクを貼っておきます。必殺ひとまかせ。→ http://d.hatena.ne.jp/paseyo/20120426/p1)

おしらせ・1

情報が出たようなので、おしらせをひとつ。


5月5日開催のCOMITIA100、および5月6日開催の第14回文学フリマでサークル「ふぇにどら!!」さまが頒布される本に、寄稿した短編が掲載されます。本のタイトルは『クトゥルフ神話アンソロジー・2「深淵」-ドラッグフェニールの絵画・3-』、わたしの作品は「私の妹がそんなに繊細なわけがない」です。「ギルマン高家あさひ」名義で書いています。わたしはともかくとして、他の執筆陣の方々がちょう豪華! なので、足を運ばれる予定のある方は、ぜひ手に取ってみてくださいませ。


サークル、スペース情報は以下のとおり。


COMITIA: り40ab ふぇにどら!!&おんせんおだし
文学フリマ: F-10,11 ふぇにどら!!


くわしくは頒布元さまのこちらのページをご覧ください。→ http://higahisa.blog10.fc2.com/blog-entry-69.html


(追記: Amazonとらのあなでもイベント後? に販売されるそうです。くわしくは→ http://higahisa.blog10.fc2.com/blog-entry-70.html)


それぞれのイベントの詳細については、主催者さまのウェブサイトでご確認いただければとおもいます。


COMITIA100 → http://www.comitia.co.jp/100/index.html
文学フリマhttp://bunfree.net/


ところで、掲載作のタイトルは、当ブログを昔から読んでくださっている方には既視感のあるものかもしれないですね。以前、このブログに掲載し、数年前の文学フリマで販売した『てるてる・はあと』に収録した短文を「完全版」にしたものです。(だいぶ加筆、修正をしましたので、基本的な方向性以外は別な作品になっていますが。)


それから、このエントリ、「おしらせ・1」とタイトルを振っていますが、1とついているのは2がある可能性が高いからです。文学フリマで、もう1冊、参加している本が出る予定です。こちらのほうの詳細は後日おしらせできるとおもいます。


よろしくお願いいたします!


クトゥルフ神話アンソロジー・2「深淵」-ドラッグフェニールの絵画・3-

クトゥルフ神話アンソロジー・2「深淵」-ドラッグフェニールの絵画・3-

Sakura Sakura

今年、日本は冬が厳しく、雪が多かったり、関東あたりでもなかなか暖かくならなかったりなようですが、アメリカ東部、中西部は逆に暖冬で、特にここ数週間は、まだ3月半ばなのに5月〜6月くらいの陽気になったりもしました。


このあたりの桜は、ふだんは関東地方よりも遅く、4月中旬ごろに見頃をむかえるのですが、今年は日本各地に先駆けて早くも満開になり、そのあと雷雨が来たせいもあって早々に散ってしまいました。



これは、ちょうど満開ぐらいのときの写真。


アメリカで桜というと、ワシントンDCのそれが有名です。毎年、桜まつり (National Cherry Blossom Festival) が開催され、今年は特に、最初の植樹がおこなわれた1912年から100周年、ということで、いろいろなイベントが企画されているようですが、そのDCの桜も、今年は祭の期間のまえに咲きはじめ、ちょうど3月20日の初日あたりに満開だったとか。例年だと、4月上旬が開花のピークになり、桜まつりの期間も、それにあわせて設定されているようなのですが。


ところで。


「桜の木の下には屍体が埋まっている」と、よく言いますね。桜の花が、あんなに美しく咲くのは、根元に埋まった死体から養分を吸い上げているからなのです。


逆にいうと、なにもない場所に桜の木を植えても、根付きはしても、きれいな花を咲かせるには至らない、ということです。いまからちょうど100年まえ、日本からワシントンDCに3000本の桜が送られたときにも、そのことが問題になりました。そして、解決策として、桜の苗木とともに、おなじ数の死体を日本から届けることになったのです。


1912年当時、日本―アメリカ間の交通手段は船、および陸路しかありませんでした。その長旅のあいだ、3000体の死体を管理し、鮮度を保つのは容易なことではありません。それに、それだけの数の棺を船や鉄道に積み下ろしする人手の確保も、簡単ではありませんでした。そこで、日本から、さまざまな死霊術の遣い手たちが同行することになりました。


彼らは、3000体の死体を操って、桜の苗木とともに阿波丸に乗船し、シアトルで上陸。そこからワシントンDCまで、陸路で死体を引き連れていったとそうです。


その一行の中のひとりは、アメリカから帰国せずに、マサチューセッツ州アーカムに滞在し、当地にある大学で死体蘇生術の研究や後進の指導にあたったともいわれていますが、それはまた別の話……。

銀のネジの門のむこうへ

わたしは今学年、大学の図書館で時間勤務のアシスタントの仕事(つまりアルバイトみたいなもの)をしているのですが、先日、職場に行ったら、デスクの上に、こんな缶が出現していました。

ラベルには"Unidentified Keys"の文字。「用途不明の鍵」というくらいの意味でしょう。


もしかすると、この中に入っている鍵のひとつから、異世界での壮大な冒険がはじまるのかもしれない。そのまえに、図書館にある無数の扉の中から、その鍵が合うものを探し出さないといけないのかもしれないけれど。


そんな空想をもてあそびながら、缶の蓋を開けてみると……。

……これで、どんな扉を開けろと???