H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語 Lesson 3

こんにちは。「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」の時間です。



今回は、接頭辞をとりあげます。まず、こちらの例をみてください。

unthinkable (考えられないほどの)


unimaginable (想像すらつかないような)


immemorial ([人類の記憶、記録にないほど]太古の)


unnamable (名前をつけることができない、名状しがたい)


どの単語も、"un-"、または"im-"ではじまっていますよね。これらが、接頭辞とよばれるものです。例としてあげた単語の意味からわかるように、"un-"も"im-" ("in-") も、「〜でない」、「〜のない」をあらわす、否定の接頭辞です。(注: "in-" あるいは "im-" は、単語によっては「中」、「中に」、「中へ」をあらわす接頭辞なこともあります。)


では、例文もみてみましょう。

Out of the unimaginable blackness beyond the gangrenous glare of that cold flame ... there flopped rhythmically a horde of tame, trained, hybrid winged things that no sound eye could wholly grasp, or sound brain ever wholly remember.


(冷たく燃えさかっている炎の、死んだような輝きもとどいていない、想像を絶する漆黒の中から …[中略]… 従順で飼い馴らされた、翼を持った異形の生き物の群れが飛来したのだ。それらは、にごりのない目では全貌をとらえることすらあたわず、明晰な頭脳では記憶もできないような姿をしていた。)*1


H.P. ラブクラフトの作品には、ほかにも、これらの接頭辞をもつ単語が意外とたくさん登場します。このような非説明的な表現に簡単に頼ってしまうのは、小説家としてはどうなのか、とおもうときがないわけでもありませんが(汗)。


ちなみに、最初の例でとりあげた単語に、being (生き物)、past (過去)、darkness (暗闇)、shape (姿、かたち) などの名詞を適当に足すと、クトゥルー神話的な怪物をラブクラフト風に表現することができますよ。たとえば、

From an unthinkable darkness of the immemorial past, came an unnamable being of unimaginable shape.


(想像を絶する形状をした、名をつけることすらできない存在が、人類の記憶すら遠くおよばない過去の、考えることのできないほど暗い闇の中からその姿を現した。)


簡単に表現の幅をひろげることができるので、みなさんも、いろいろな組み合わせをためしてみてくださいね。


今週の「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」はこれで終わりです。
それではみなさん、いあ、しゅぶ=にぐらあ!

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「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」は、毎週月曜日更新です。(うそです。) (いや、来週の月曜日までにネタがおもいついたら、ほんとうに更新するかもしれません。) (でも、おもいつかなかったら、やっぱりうそです。)



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*1:出典: H.P. Lovecraft, "The Festival" in H. P. Lovecraft, (ed. by S. T. Joshi), The Call of Cthulhu and Other Weird Stories. Penguin Books, 1999: p. 116. 翻訳文は筆者による