Fog 2

アーカムをおおった深い霧が晴れて、数日が経った。
発生した翌日には地域の新聞でも一面でとりあげられ、住民の会話の中でも必ず触れられる話題であったけれども、ふだんと変わらない生活を送るうちに忘れてしまうのか、いまとなってはその日のことを耳にすることは全くといっていいほどない。
けれども、熱心な新聞の読者であれば気がついていただろう。
町が霧に閉ざされた一日に、町の住民が五人、行方不明になっていたのだ。
そのニュースは、それぞれの失踪に他の人が気がついたタイミングが異なっていたために、ばらばらに報道された。そのせいもあって、これを大きな事件として取り上げる風潮は、まだ生まれていないようだ。


町の北側に住んでいる、小学生の女の子。
アーカム警察に勤務する若い男性警察官。
川沿いの道にあるレストランのウェイトレス。
ミスカトニック大学で教鞭をとっている初老の男性教授。
そして、鉄道駅の中でよく目撃されていた、中年のホームレスの男性。


そう。あの霧は、はじまりに過ぎなかったのだ。
彼らが町に戻ってくるとき、惨劇の幕が切って落とされる。

Coming soon. (うそです)。

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いっこ前の記事で、「霧が晴れて安心だ」というようなことを書いたんですが、考えてみたら、こういう可能性もありそうですよね。安心して寝られる日は来そうにありません。