H.P.ラブクラフトが教える「モテる女子力を磨くための4つの心得」

ロードアイランド州プロヴィデンス、エンジェル通り598番地から送られるはずだったかもしれない手紙。

こんにちは。ロードアイランド州プロヴィデンス在住のH.P.ラブクラフトです。私は18歳から23歳までのあいだ引きこもりに近い生活を送り*1、21歳の誕生日を迎えた日にはひとりぼっちで一日じゅう路面電車に乗っていたほど*2ですが、恋愛に関しては偉大なるアマチュア。僭越ながら、貴女の恋愛に関するご質問にお答えし、4つの心得をお教えしたいと思います。



1. あえて2〜3世代前の修辞法で書いた文章をコンベンションに持っていく


あえて2〜3世代前の修辞法を使うようにしましょう。そしてコンベンションの場で好みの男がいたら話しかけ、わざとらしく原稿を出していじってみましょう。そして「あ〜ん! この文章本当にマジでチョームカつくんですけどぉぉお〜!」と言って、男に「どうしたの?」と言わせましょう。言わせたらもう大成功。「修辞法とか詳しくなくてぇ〜! ずっとコレ使ってるんですけどぉ〜! 使いにくいんですぅ〜! ぷんぷくり〜ん (怒)」と言いましょう。だいたいの男は新しい修辞法を使いたがる習性があるので、古かったとしても1世代前の修辞法を使っているはずです。


そこで男が「新しい文体にしないの?」と言ってくるはずです。 (言ってこない空気が読めない男はその時点で無視して構いません。) そう言われたら貴女は「なんかなんかぁ〜! 最近『意識の流れ』が人気なんでしょー!? あれってどうなんですかぁ? 流行に追いつきたいんですけどわかんなぁぁああい!! 私かわいそーな子☆」と返します。すると男は「『意識の流れ』はまだコないよ。本当に良くわからないみたいだね。どんな文章が書きたいの?」という話になって、次の休みの日にふたりで文章推敲ができるというわけです。貴女の女子力が高ければ、男が共著者になってくれるかもしれません*3



2. 文通でhideousを使うとモテる


「キャー!」とか「ひどい!」などを表現する"hideous"という語*4を返信に入れると、男性の文通相手は「なんかこの子カワイイなぁ」、「支えてあげたいかも」などと思ってくれます。文通では現実世界よりもイメージが増幅されて相手に伝わるので、"hideous"を多用することによって、男性は貴女を可憐で女の子らしいと勘違いしてくれるのです。そういう印象操作をおこなうとほぼ絶対に同性に嫌われますが、気にしないようにしましょう。



3. とりあえず男には「えー! なにそれ!? 知りたい知りたーい」と言っておく


茶話会などで男が女性に話すことといえば自慢話や趣味の話ばかり。よって、女性にとってはどうでもいい話ばかりです。でもそこで適当に「へぇーそうなんですかぁ〜?」とか「よくわかんないですけどすごいんですねぇ」と返してしまうと、さすがの男も「この女ダメだな」と気がついてしまいます。ダメ女だとバレたら終わりです。そこは無意味に調子を合わせて、「えー! なにそれ!? 知りたい知りたーい」と言っておくのが正解です。たとえ興味がない話題でも、調子と積極性でその場を乗り切りましょう。積極的に話を聞いてくれる女性に男は弱いのです。


いろいろと話を聞いたあと、「〇〇は〇〇で、〇〇が〇〇なんですね! 覚えたぞぉ! メモメモ!」と返答すれば完璧です。続けて頭に指をさしてくるくる回しつつ「ゆんゆんゆん! ゆんゆんゆん!」と言って、「どうしたの?」と男に言わせるのもいいでしょう。そこで「イスの偉大なる種族に転送しているのでありますっ☆」と言えば貴女の女子力も急上昇です。そこでまた男は「この子おもしろくてカワイイかも!?」と思ってくれます。私は学歴もない半ば引きこもりのような生活をしている男ですが、こういうテクニックを使われたらころりと参ってしまいます。男は優越感に浸りたいですからね。



4. レストランではオムライスを食べられない女をアピールせよ


男とレストランに入ったら、真っ先にオムライスなどの卵を使った料理を探して「あーん! 私これ食べられないんですよねぇ〜(悲)」と言いましょう。すると十中八九「どうして? 嫌いなの?」と聞かれるので、「嫌いじゃないし食べたいけど食べられないんですっ」と返答しましょう。ここでまた十中八九「嫌いじゃないのにどうして食べられないの?」と聞かれるので、うつむいて3〜5秒ほど間をおいてから、ぼそりとこう言います。「……だって、……だって、斯様にもおぞましきモノがこの地上に存在してよいものであろうか。未だ形さだまらぬうちに造物主の手を離れ、その腹に無数の小さな種を宿し、純白の皿の上に粘液状の醜い姿を晒す、冒涜的な物体が……*5」と身を震わせて言うのです。


その瞬間、あなたの女子力が急上昇します。きっと男は「なんて繊細な心とコズミックな想像力を持った子なんだろう! 絶対に俺のものにしてやるぞ! コイツは俺の女だ!」と心のなかで誓い、あなたに惚れ込むはずです。意中の男と付き合うことになったら、そんなことは忘れて好きなだけオムライスを食べて大丈夫です。「食べられないんじゃなかったっけ?」と問われたら「大丈夫になった」「慣れた」「そんなこと言っていない」などと答えておけば良いでしょう。


おこんないでね……。


元ネタは、ここ数日ついったー界隈を騒然とさせた「モテる女子力を磨くための4つの心得『オムライスを食べられない女をアピールせよ』等」(http://youpouch.com/2011/04/26/162331/) という記事です。


ところで、ラブクラフトは魚介類を嫌悪したことで有名ですが、生卵も食べられなかったんじゃないかなあ。どうだろう。

*1:"From 1908 to 1913 Lovecraft was a virtual hermit...": http://www.hplovecraft.com/life/biograph.asp

*2:"... we know that on his twenty-first birthday in 1911 he rode the trolleys all day...": http://www.themodernword.com/scriptorium/lovecraft.html

*3:余談ですが、このパラグラフは「男」を「作家」に置き換えても文章が成立しますよね。その場合、読みかたによっては非常にブラックな内容になりますが……。

*4:Wordcount for Lovecraft's Favorite Words: http://cthulhuchick.com/wordcount-lovecraft-favorite-words/

*5:筆者はオムライス大好きです。