H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語 April Fool's Day Edition

こんにちは。「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」、今日は番外編をお送りします。


かに以外の魚介類の肉を、かに肉の風味や外見に似せて加工したものを、日本では一般的に「かにかま」と言いますね。その「かにかま」、英語では、こう呼んだりします。

Imitation (模造の) crab (かに) meat (肉)、ということで、そのまま訳せば「模造かに肉」という意味ですが、なんと、ここには重要な真実が隠されているのです!


この語の構造、imitation が crab meat にかかっている、つまり、「模造の」「かに肉」という意味になっている、という解釈がふつうだとおもいます。が、実は、ここでの imitation は、crab だけにかかっているのです。すなわち、この語が本来意味するところは、「模造かにの」「肉」ということになります。


そう、imitation crab meat は、「かに肉を模してつくったもの」ではなく、「模造かにの肉を原料にしたもの」なのです。つまり、原料になる、imitation crab (ニセかに)、という生物がいるのです!


ばーん。

ニセかに(想像図)。
かにに擬態した軟体動物。かにだとおもって捕食しにくる生物を触手で捕らえ、下部にある口でむさぼり食う。


擬態しているだけあって、肉の味はそっくりなのですが、触手があるぶん、肉を多くとることができ、そのため、かに肉よりも安く供給できるのだそうですよ。


今日の「H.P. Lovecraftで学ぶひとこと英語」番外編は、これで終わりです。
それではみなさん、いあ、しゅぶ=にぐらあ!


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似たような、語の修飾関係を意図的にとりちがえたジョークとしては、「不思議の国のアリス」に登場する Mock Turtle (にせ海亀) がよく知られているかもしれません。(当時イギリスで食べられていた mock turtle soup [子牛の内蔵肉などをつかってつくる、海亀スープに似せた料理] を、mock turtle を原料にしたスープ、とわざと誤解釈している。参照: http://en.wikipedia.org/wiki/Mock_Turtle)

もはや、ラブクラフト御大も、クトゥルー神話も関係ないようなネタになってしまっていますが、imitation crab meat は、imitationとはいっても、vegetarian meat (大豆が原料)などとはちがって、あくまでも魚肉が原料で、けっこう魚っぽいにおいもするので、魚介類を嫌悪していたというラブクラフト御大にとっては、crab でも、imitation crab でも、どのみちキモチワルイ食べ物だっただろうな、などと想像しながらニセかにを描いてました。(彼が生きていた時代には、まだカニカマは開発されていなかったとはおもいますが。) それにしては、ニセかにがあまり邪神っぽくないですが、私の画力と想像力ではこれくらいが限界です。



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