宅配小包

夏時間のせいもあって長い一日がようやく暮れた夜9時半ごろ。
ドアをノックする音が聞こえたので応対すると、郵便局の制服を着た、背の低い男が立っていた。
ふだん、このアパートを担当にしている配達夫ではない。
人が違うのは時間外だから、なのかもしれないけれど、玄関の外から小包を差し出している男の体から、異様な空気が立ちのぼっているような気がして、わたしは荷物を受け取るのを一瞬ためらった。
彼は、そんなわたしの手の中に無言で箱を押しつけると、サインも取らずに踵を返し、去っていった。


小包は、段ボールに当てた手のひらがひんやりとしてくるほどに冷たかった。
宛て先には確かにわたしの名前が書かれていたが、このようなものの宅配を手配した心当たりは、わたしにはなかった。
しかも、ふつう、いくら急ぎに指定された荷物でも、郵便局から夜間に届けられることはないはずだ。


不審におもいながら封を切ると、中から、ビニールで真空包装され、冷凍された、拳をふたつ並べたくらいの大きさの塊が、ごろり、と転がりだしてきた……





追記: 使用した材料は、撮影終了後スタッフがおいしくいただきました。